BepiColomboが2度目の水星スイングバイを実施

JAXAと欧州宇宙機関(ESA)が共同で行っている水星探査ミッションBepiColombo(ベピコロンボ)が6月23日、2度目の水星スイングバイを行いました。水星への再接近は日本時間の18時44分ごろで、水星表面から約200kmの距離まで接近しました。

BepiColomboは最終的に水星の周りを回る軌道に投入されますが、そこにたどり着く前に探査機は水星の重力に捕われるだけ十分に減速する必要があります。今回のスイングバイはそのために行われたもので、7.5km/sの相対速度で水星の約200km上空を通過しました。これにより、探査機の太陽に対する相対速度はスイングバイ前よりも1.3km/s遅くなりました。

水星に接近する折角の機会なので、スイングバイの前後、探査機は搭載されたセンサーの一部を使って水星の観測を行いました。そのセンサーの一つがモニタリングカメラ(MCAM)です。これは本来BepiColomboのソーラーパネルやアンテナが無事展開されているか確認するために使われるカメラで、探査機本体を向くように取り付けてられています。そのため MCAMで写真を撮ると、探査機の背景に水星が映り込む言わば「自撮り」のような画像を得ることになります。

ただし水星への再接近時、探査機は水星の日陰、夜側にいるため、そのタイミングではカメラで水星を撮影することができません。再接近の5分後、水星からおおよそ800km離れた時点からは水星が反射した太陽光が探査機に届き、カメラを使った観測が可能になります。カメラによる撮影は再接近後からおおよそ40分間行われました。

因みにBepiColomboは水星の周回軌道に投入されると、水星までの距離は一番近くておおよそ400kmとなります。この400kmよりもさらに水星に近い領域を探査機が通過するのは、実は今回のようなスイングバイの時だけです。そのため、スイングバイの時しか取れない貴重なデータの取得も期待されています。

BepiColomboが水星に接近したのは2021年10月に行われた第1回水星スイングバイ以来で、今回が2度目になります。探査機は2025年12月、水星周回軌道に投入されますが、その前に今回を含め、合計6回の水星スイングバイを行います。次回の第3回水星スイングバイは2023年6月20日に予定されています。

(文: 諏訪春樹)

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